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勤務先の経営悪化や倒産した際の賃金はどうなるのか?

HiELCC相談員を務めております弁護士の 車元 晋 です。

  今回は、「勤務先の経営悪化や倒産した際の賃金はどうなるのか?」についてのお話です。
賃金の支払が確保されることは、労働者の生活を守るために重要です。

労働基準法は、使用者(雇用主)の労働者(従業員)への賃金の支払義務を定めています(同法24条など)。賃金の支払を怠ると労働基準法違反となり、労働基準監督署が使用者に対し行政指導したり、悪質な場合には刑罰が科されることもあります。

 では、使用者である会社が経営に行き詰まり、倒産した場合はどうなるのでしょうか。
未払賃金のある労働者は、会社に対する未払賃金債権(労働債権)を持つ債権者として、会社の破産手続に参加することができます。
破産手続では、破産会社に残された財産を、破産管財人が回収・売却して現金化し(換価)、債権者に分配します(配当)。

配当の順位について、労働債権は、一般の債権(銀行の借入など)よりも優先して支払われるものとされ、破産手続の中で労働者への一定の配慮がなされています。
しかし、会社に財産が残っておらず、ほとんど配当ができないケースも多いです。
その場合の手当として、国が「未払賃金の立替払制度」を整備しています。企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。

破産管財人に証明書を発行してもらい、独立行政法人労働者健康安全機構という公的機関に申請すると、一定の要件を満たす範囲で、未払賃金の8割(※退職時の年齢により88万円~296万円の上限有り)を、会社に代わって機構が労働者に支払(立替払)してくれます。

会社が事実上廃業(倒産)したが破産手続をしていないケースでは、労働基準監督署に申請すれば必要な認定をしてくれる場合もあります。
詳細は、厚労省ウェブサイトで確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html

なお、倒産により会社との雇用契約は終了(解雇)となりますが、会社都合の退職であるため、雇用保険(失業保険)の支払の開始時期や金額も、自己都合退職に比べて有利になっています。

 このように、未払賃金のある労働者に対しては、二重三重に保護が図られています。 以上、参考にしていただけましたでしょうか。さらに詳しい情報を知りたい場合は、広島県・今治市雇用労働相談センター(HiELCC)が開催する無料セミナーにご参加いただくか、お気軽に当センターまでお問い合せ下さい(月曜から金曜の9時から17時まで、無料相談を受け付けております)。