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現金払の原則と、振込払の場合のルール

HiELCC相談員を務めております弁護士の 車元 晋 です。 今回は、以前私がセミナーでもお話ししました、「現金(通貨)払の原則と、振込払の場合のルール」についてご説明したいと思います。 労働者への賃金の支払について、労働基準法24条で定める4つの原則があります。 ●通貨払いの原則(通貨で支払わなければならない) ●直接払いの原則(労働者に直接支払わなければならない) ●全額払いの原則(全額を支払わなければならない) ●定期日払いの原則(毎月1回以上一定期日を定めて支払わなければならない) 例えば、使用者(企業・事業者)には、使用者からの一方的相殺は原則できない(全額払いの原則より)といった制約が課されることになります。 「通貨払いの原則」により、給料は「通貨(現金)」で支払わなければなりません。現物支給ではなく通貨での給料支払を保証することが、労働者の生活を守るために欠かせないからです。 しかし、多くの企業では、給料を口座振込で支払っているのではないでしょうか。 給料の振込払は、「通貨払いの原則」の例外として、要件を満たした場合に限り認められることになっています(労働基準法施行規則7条の2)。 労働者の同意がある場合に、労働者が指定する労働者の預貯金口座等への振込・払込をすることが認められています(加えて、退職手当については、小切手・郵便為替による支払も認められます)。  行政指導で、細かいルールも定められており、 ① 所定の賃金支払日の午前10時頃に払出しが可能となっていること ② 労働者の過半数を代表する労働組合または過半数を代表する者と協定を締結すること ③ 賃金支払日に労働者へ賃金の支払に関する計算書(給与明細等)を交付すること も順守しなければなりません。 企業で、従業員に対し特定の金融機関の預金口座を振込先口座として指定している場合がありますが、労働者の同意なく、労働者の希望と異なる特定の金融機関への振込のみを認める扱いは、通貨払いの原則との関係で問題がありますので、注意が必要です。 このほか、最近のトピックとして「デジタル払」(決済アプリ(○○ペイ)や電子マネーによる給与の支払)がありますが、こちらも、「通貨払いの原則」の例外の要件(労働者の同意や、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座であること等)を満たす場合に限り認められます。 詳しくは、こちらのコラム(2023年5月2日「賃金の支払いもキャッシュレスへ。賃金デジタル払いが解禁」)で解説していますので、そちらもご覧になってください。 また、施行後の最新の情報については厚生労働省のウェブサイトもご参照下さい。 以上、参考にしていただけましたでしょうか。さらに詳しい情報を知りたい場合は、広島県・今治市雇用労働相談センター(HiELCC)が開催する無料セミナーにご参加いただくか、お気軽に当センターまでお問合せ下さい(月曜から金曜の9時から17時まで、無料相談を受け付けております)。

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セクハラ相談への具体的対応方法

こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の下西祥平です。 「セクハラ」が発生しているにもかかわらず、会社が何らの措置も講じない場合には、職場環境への配慮に欠けるとして民事上の損害賠償責任を問われたり、行政指導や企業名の公表等の行政上の制裁措置が講じられることがあります。 もっとも、一言にセクハラといっても、具体的に何があったのか分からなければ適切な対処方法を見出すことができません。 まずは、何がセクハラにあたるのかを整理する必要があります。男女雇用機会均等法(正式名称は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)第11条による整理では、セクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により職場環境が害されることを指します。 セクハラは、同僚同士や上司に対しても成り立ちますし、同性に対しても成立することがありますし、現在の指針では、LGBTQ等の性的少数者も対象とされています。また、広義のセクハラは、職場外での性的言動も含みます。いかなる「性的言動」がセクハラに当たるかについては、過去の裁判例や人事院規則の例が参考になります。例えば、性的な関係を強要したり、必要なく身体に接触することは当然セクハラにあたりますが、それにとどまらず、会話の中で性的な事実関係を尋ねたり、性的な冗談を交わしたり、性別により差別しようとする意識を伺わせるような発言をすることもセクハラと判断されるおそれがあります。 具体的な相談が会社になされた際には、まず、セクハラに相当する事実の有無を調査することになります。調査時に注意すべき点は、被害を訴えている労働者が会社に対して不信感を抱くことがないよう、理解と納得を得るように努めることです。他方、過度な期待を抱かせないようにすることも大切です。また、事実関係が明確でない段階で加害者とされた労働者を責めるような発言をしないことも肝要です。 調査の結果、セクハラの事実が確認できた場合の対応は、厚生労働大臣による指針(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき 措置等についての指針)が参考となります。例えば、就業規則その他の規定に基づき、行為者に対する懲戒処分など必要な措置を講じるほか、被害者と行為者との間の関係調整、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等の措置を講じることなどが適正な対応例とされています。さらに、職場におけるセクハラに関する方針を周知・啓発すること等再発防止に向けた措置も重要です。  以上の通り、セクハラの事実が疑われた際には、事実関係の調査を適切に行い、セクハラに当たるか否かについて、専門家に相談の上、慎重に判断し、セクハラに当たり得る場合には、指針に従った適切な措置を講じる必要があります。最初の一歩を間違えないために、是非本センターなど専門家へのご相談をお勧めします。

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最低賃金の引上げについて

こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の江口裕哉です。 10月から、「地域別最低賃金」が引き上げられ各都道府県の全国加重平均は 1,004 円となり、初めて全国加重平均が1,000円を超えることとなりました。 今回は最低賃金の引上げに伴う「会社の注意点」と「検討すべき点」をお話したいと思います 「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県ごとに最低賃金が定められています。 ※「地域別最低賃金」とは別に「特定最低賃金」があり特定の産業について設定されている最低賃金で「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められている傾向にあります。 地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。 ①最低賃金が守られているか確認するときの注意点 地域別最低賃金は時間給で設定されています。従って時給者の場合は最低賃金が守られているか分かり易いのですが、月給者の場合は、月額の賃金を時間額に換算して確認しなければなりません。 【計算式】 月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額) 「月給」は、毎月支払われる基本的な賃金で、基本給だけでなく諸手当を含みますが、残業代や精皆勤手当、通勤手当、家族手当、は除外することになっています。「1箇月平均所定労働時間」はその労働者について雇用契約に基づく「年間総労働時間」を12で割った時間です。 例えば、「固定残業手当」のように残業代の趣旨として支払っている手当は最低賃金を満たしているかの計算には含めることが出来ませんので注意が必要です。 詳細は厚生労働省のHP(最低賃金制度 (saiteichingin.info)をご確認ください ②最低賃金の引上げに伴い、会社内の賃金水準を引き上げる際の検討点 最低賃金が引き上げられた後に新しく雇用する方について最低賃金以上で雇用することが求められるので、引上げ前から雇用している方について賃金を引き上げるケースが多いと思います。 その際に、会社内の生産性を高めるための施策を検討する際には、「業務改善助成金」などの助成金やその他補助金を利用できないかを検討しましょう。 そのほか「扶養の範囲内」で働いている方については、本人の希望を確認してどのように 働いてもらうかを確認する必要があります。 扶養の範囲内で働いている方については、収入に関する制限がありますので、時給単価が上昇すれば、その分働ける時間が短くなることになります。 働ける時間が短くなった分だけ事業の運営に影響がでないように、 ・雇用する人数を増やすことができるのか ・「扶養の範囲内」にこだわらず働くことを希望する方がいれば、条件をどうするのか ・少ない人数でも事業が運営できるように仕組みを変えるのか など、会社内での賃金水準が上昇すれば、検討することが増えてきます。 厚生労働省のHP(最低賃金制度 (saiteichingin.info)の中には、賃金引上げに関する事例や政府の支援に関する情報もありますので、確認してみてください。 もう少し詳しく知りたい方、他の雇用労働の疑問を相談したいという方は、是非、お気軽にメール・チャットでお問合せください HIELCC(広島県・今治市雇用労働相談センター)では、 月曜から金曜の9時から17時00分まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!

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シニア世代を積極的に活用してみませんか?

こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の山崎です。  いわゆる高年齢者雇用安定法(正しくは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」と言いますが、ここでは略称を使います。)が改正され、令和3年4月1日より施行されたことを踏まえ、今回は高年齢者雇用安定法の改正内容について触れてみたいと思います。  定年を定めるときは60歳以上としなければならないことに加え、65歳未満を定年としている事業主は、①65歳までの定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年制の廃止、のいずれかの雇用確保措置を講じることが義務づけられていますが、今回の改正では、  定年を65歳以上70歳未満と定めている事業主、または、(65歳までの)継続雇用制度を導入している事業主は  ①70歳までの定年引上げ  ②70歳までの継続雇用制度の導入  ③定年制の廃止  ④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入  ⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に社会貢献事業に従事する制度の導入 のいずれかの就労確保措置を講じる努力義務が課されることとなりました。 (参考)厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf  現時点ではいまだ努力義務(・・・するように努めてくださいというだけで、それに違反したからといって何のお咎めもありません。)とされているに過ぎませんが、これまでの改正の経緯からすると、遅かれ早かれ、努力義務から(違反したときは行政処分等の対象となる)強行的義務に格上げされるかもしれませんので、早めに対応されるといいでしょう。  少子高齢化社会を迎えて働き手が足りなくなっていることに加え、シニア世代の皆さまは豊富な経験やキャリアをお持ちですから、皆さまの会社でもシニア世代を積極的に活用してみませんか?  詳しくは、HiELCCまで遠慮なくお問い合わせください。 広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜までの午前9時から午後5時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!

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「契約社員」の無期転換制度・雇止め法理について

HiELCC相談員を務めております弁護士の 鈴谷 通 です。   先日(令和5年8月24日)、「パート・有期雇用労働者に関する基礎知識」というテーマでセミナーを担当いたしましたので、その内容のうち、有期雇用労働者(いわゆる契約社員)に関する無期転換制度(労契法18条)と雇止め法理(労契法19条)の基本的な考え方について、ごく簡単に説明いたします。 なお、上記セミナーで扱った内容のうち「同一労働同一賃金の原則」については、同一テーマを扱った山崎義明先生のコラム(「パートタイム・有期雇用労働者に対する不合理な待遇差とは?その1」、同「その2」)が既に掲載されていますので、そちらをご参照下さい。 長らく有期雇用労働者(=期間の定めのある労働者、以下本コラムでは「契約社員」といいます。)は「雇用の調整弁」と扱われてきました。会社から見て、期間の定めがない正社員は簡単に解雇することはできませんが(解雇権濫用法理、労契法16条)、期間の定めがある契約社員は契約期間が満了すれば自動的に退職とすることができるからです。景気がよいときは、契約を更新して契約社員に働いてもらい、ひとたび景気が悪くなれば、契約を更新せずに辞めてもらう。会社にとってみれば、ある意味、契約社員はとても「都合がよい」存在でした。 とはいえ、契約社員にしてみれば、会社で働き続けられるかどうかは生活に直結しますので、会社の都合だけで簡単に判断されてはたちまち生活に困ってしまいます。契約社員はいつ職を失うかわからない不安定な立場に置かれているため、何らかの保護が必要だと考えられました。 そこで、長年かかって裁判所が打ち立てた判例法理が「雇止め法理」です。 すなわち、裁判所は、 ① 有期労働契約が反復更新されて実質的には無期契約と同視できる場合(実質的無期型) ② 労働者が契約を更新してもらえると期待する合理的な理由がある場合(期待保護型) のいずれかに該当する場合は、契約期間満了を理由として直ちに退職扱いするのではなく、 正社員を解雇する場合と同様に扱うべきである、としたのです。 この「雇止め法理」は、現在、労働契約法第19条として条文化されています。  そして、その後、立法は、不安定な立場に置かれる契約社員を保護するためのより明確なルールを制定することにしました。それが「無期転換制度」(労契法18条)です。  制度をおおざっぱに説明すると「契約社員の労働期間が契約更新によって通算5年を超えることになった場合、その契約社員が希望すれば、契約期間の限定がなくなり、期間の定めのない労働者となることができる」というものです。  契約社員がこの無期転換権を行使すれば、「次に契約が更新されるかわからない」という不安定な状態からは脱することができます。  両制度の適用関係については、ある契約社員が無期転換権を取得している場合は同制度に基づく無期転換が明確に認められることになりますが、仮に無期転換権までは取得していない場合であっても、①実質的無期型や②期待保護型に該当する場合は「雇止め法理」の適用があることになります。 詳しくは、HiELCCが開催する「無料」セミナーにご参加いただくか、ご遠慮なくHiELCCまでお問合せ下さい。広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜の9時から17時まで、無料相談を受け付けております。

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両立支援で支える制度づくり

人材確保のための両立支援 こんにちは。HiELCCの相談員をしています、特定社会保険労務士の前田章湖です。 仕事と両立支援における3大テーマは、子育て・介護・病気治療と言われており、企業には労働者一人ひとりのワークライフ・バランスに寄り添った対応が求められています。 仕事との両立支援について、何から取り組めばわからないという悩みを抱えている経営者、人事労務担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。 病気治療との両立支援については、厚生労働省が「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を発表しています。 このガイドラインの中で、両立支援を行うための環境整備として取り組むことが望ましい事項として、次の4点が挙げられています。 ・事業者による基本方針等の表明と労働者への周知 ・研修等による両立支援に関する意識啓発 ・相談窓口等の明確化 ・両立支援に関する制度・体制等の整備 労働者が病気にり患して治療が必要になったとき、本人がすぐ退職を決断しないよう、会社としてバックアップをすることを明確に伝えることが必要です。 そのためにも、まず労働者が誰に、どのように相談したらよいかが分かるよう、相談窓口を明確化しておく必要があります。 また両立支援は、職場の雰囲気や風土が重要であるといわれていますが、その風土は即日作られるものではなく、経営者の態度・メッセージによって醸成されるといえるでしょう。 基本方針を表明し、労働者へ周知することにより、労働者一人ひとりに寄り添った職場の雰囲気・風土がつくられていくのではないでしょうか。 労働者にとって、働きやすさを感じることができる職場や、生きがいや働きがいをもって生き生きと働き続けることができることはとても大切なことです。病気治療者に限らず、すべての社員にとっても必要といえるでしょう。 優秀な人材の確保や定着の実現のために今できること、これから備えておくべきことについて、セミナーでより詳しくご紹介します。

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統計から読み解くハラスメントの実情

統計から読み解くハラスメントの実情 こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の石田達則です。 労働施策総合推進法が改正され、職場におけるパワーハラスメント対策を実施することが、大企業は令和2年6月1日から、中小企業は令和4年4月1日から義務となりました。これによりセクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントと同様に、パワーハラスメントについても事業主の方針の明確化及びその周知・啓発の実施・相談に応じること、適切に対応するために必要な体制の整備をすること、パワーハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応等を雇用管理上の必要な措置として実施する必要があります。 そこで、実際のハラスメントの実態把握やその問題・課題理解の参考として、関係する統計資料をご紹介します。 「令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査」(以下「ハラスメント実態調査」という)によると、過去3年間に相談があったハラスメントの内容については、高い順に次のとおりです。 ① パワーハラスメント(パワハラ):48.2% ② セクシャルハラスメント(セクハラ):29.8% ③ 顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ):19.5% ④ 妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(マタハラ):5.2% ⑤ 介護休業等ハラスメント:1.4% ⑥ 就活等セクハラ:0.5% このように、ハラスメントの中ではパワハラが過半数近くを占めています。このことは、厚生労働省から発表された「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の最も多かった相談内容が11年連続で「いじめ・嫌がらせ」であることからも裏付けられます。 また、意外と多くなっているのがカスハラです。カスハラとは、例えば顧客等からの「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」や「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」等のことで、多くは主に顧客との接点が多い職種で発生してくると考えられます。 先ほどのハラスメント実態調査では、過去3年間にハラスメントを受けた経験・頻度について労働者にも質問しており、ハラスメントを一度以上経験した者の割合は高い順に次のとおりです。 ① パワーハラスメント(パワハラ): 31.4% ② 顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ):15.0% ③ セクシャルハラスメント(セクハラ):10.2% このように、やはりパワハラが一番多い結果となっていますが、実際に受けたハラスメントとしては、セクハラよりカスハラが多くなっていることは注目されます。接客対応の多い業種ではカスハラ対策が重要な労務管理事項となります。 次に、令和4年度「過労死等の労災補償状況」についてご紹介します。 この調査は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回取りまとめたものです。 この調査で精神障害に関する事案の労災補償状況を確認すると、労災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加となっており、実際に支給決定した件数は710件で前年度比81件の増加となっています。 注目すべきは、支給決定の要因となった具体的な出来事についてです。その上位5項目は次のとおりです ① 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた:147件 ② 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした:89件 ③ 仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった:78件 ④ 同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた:73件 ⑤ セクシュアルハラスメントを受けた:66件 このように、ハラスメントに関する事項が①、④、⑤と3項目入っており、精神疾患とハラスメントとの因果関係が高いことがわかります。 ハラスメントは当事者のみならず組織全体を機能不全としうる問題行為です。事業者にはハラスメントの内容、実施すべき措置内容、対応を理解し、ハラスメントの発生を許さない、また発生した場合も迅速・適切に対応できる体制づくりが求められます。 HIELCC(広島県・今治市雇用労働相談センター)では、月曜から金曜の9時から17時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております! 必須 お名前 必須 メールアドレス 任意 電話番号 任意 業種 —Please choose an option—金融I…

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秘密情報の保護のあり方について

こんにちは。HiELCCで相談員をしています弁護士の長井です。 会社の『営業秘密』が不正利用された、などという裁判に関する報道がされることがありますが、今回は会社の秘密情報の取り扱いと従業員の秘密保持について考えていきます。 会社の秘密情報という言葉の語感からすると、会社から外部に出すことを前提としない営業に関する情報、という何となくのイメージはできるかもしれません。しかし、ここでイメージするような『営業秘密』がすべて不正競争防止法などの法律によって無条件に保護されているわけではありません。 不正競争防止法には 『営業秘密』(1条6項)の意味が書いてあり、①秘密として管理されている(秘密管理性)、②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報(有用性)であって、③公然と知られていないもの(非公知性)、という3つの用件を満たすものに限定されています。 この『営業秘密』に該当すれば、不正に取得した者に対し民事上の損害賠償請求をしたり,刑事上の責任を問うことはできます。 他方、この『営業秘密』のレベルに達しない情報であれば従業員に持ち出されても何もできない,というわけではありません。 従業員には一般的に会社との関係で労働契約に付随する義務として秘密保持義務があるとされていますが、このことを明確に意識してもらうためにも、就業規則に秘密保持義務の条項を設けておく必要があるでしょう。 それだけでなく,「入社・採用時」,「在職中(一定の役職への昇進時,部署の異動時など)」,「退職・契約終了時」といった節目で秘密保持に関する誓約書の作成を求めることも有用です。それだけでなく,定期的に会社の秘密情報の取り扱いや不正に利用された場合の対応などについて研修を行うことも望ましいといえます。 ただ、従業員からすれば会社内の情報で一体どこまでの情報を慎重に扱わなければならないのか分かりにくい、ということはあるかもしれません。そうした場合は会社の規模にもよるでしょうが,社内の情報を「機密情報」「業務情報」「公開情報」などに分類して,公開情報以外の取扱い方法を社内規程などで具体的に定めるという方法も考えられます。 いずれにしても秘密情報を守るためには会社も従業員も相応の努力をする必要があります。 必須 参加希望セミナーを選択 —以下から選択してください—12月17日開催【会場】 労務問題への対応は就業規則の運用から12月17日開催【web】 労務問題への対応は就業規則の運用から1月22日開催【会場】 身に覚えのないハラスメント1月22日開催【web】 身に覚えのないハラスメント 必須 お名前 必須 メールアドレス 必須 電話番号 任意 役職 任意 会社名 任意 業種 —以下から選択してください—金融I T/ 情報サービス不動産法律/会計商社/ 卸建築製造医療/ 福祉公共サービス/インフラ運輸サービス資産・エネルギー美容飲食旅行/ 宿泊教育Web/広告人材その他 任意 住所…

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労働保険の年度更新について

HiELCCコラムをお読みいただいている皆様、こんにちは。 相談員の福田です。 5月のGWは、皆様はどのように過ごされましたでしょうか。 外出自粛やマスク着用などのコロナ対策も緩和され、遠出された方々もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。 さて、今日は毎年6月1日~7月10日の間に行う、労働保険の年度更新についてご案内したいと思います。

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公益通報者保護法が改正されました

皆様こんにちは、HiELCC 弁護士の下西です。 公益通報者保護法が改正されました  公益通報者保護法をご存知でしょうか?2000年代に食品の偽装表示や自動車のリコール隠し等が従業員からの内部通報にて相次いで発覚しました。他方で、公益のために内部通報をした従業員が解雇等の不利益、ハラスメント等を受けることがあり、このような事態を回避するために公益通報者保護法が制定され、2006年4月1日に施行されました。

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労働者代表(過半数代表者)の選出、適正に行っていますか?

 皆様こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の佐々木亮です。  今回は、労使協定等の締結時に必要となる「労働者代表(過半数代表者)の選任」について取り上げたいと思います。毎年更新が必要な「時間外・休日に関する労使協定(36協定)」の締結や「就業規則の作成・変更」を行う際に、労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出して、協定の締結や意見を述べる当事者とする必要があります。

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パートタイム・有期雇用労働者に対する不合理な待遇差とは?(その2)

こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の山崎です。  先日、このコラムで、不合理な待遇差の禁止について定めたパートタイム・有期雇用労働法8条について説明しました。そこで今回は、平成30年と令和2年に相次いで出された最高裁判所の判例についてもポイント解説をしたいと思います。  上記最高裁判所の判例で押さえておくべきポイントは次のとおりです。

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